パドック ~ 序盤
時間は10:30、小倉競馬場のパドックが活気に包まれている。出走馬一頭一頭の美しい体を前に、観客たちはきらびやかなレースドレスと共に彼らのパフォーマンスを待つ。
「さあ、2Rの出走馬全てのパドック入場が完了しました。注目は馬番2のメイショウホウセンですね。」
解説者の声がスタンドを通り抜ける。稲妻のような黒鹿毛に煌びやかなシルクがまとわれたメイショウホウセンは、まるで闘士のように鋭い視線を投げ掛ける。
「全員、頑張ってくれよ。」彼の声はしかし、他の出走馬たちに対する挑戦というより、むしろ自分自身への誓いのようだ。
「もちろんだ、僕たちはここに来て何を恐れることがある?」
レオマニフィクとオーバーザドリームも力強く応じる。
「ゲートインです!」実況の声が上がり、興奮がピークに達する。
騎手たちは馬たちを誘導し、ゲートへと順々に入れていく。坂井騎手はオーバーザドリームに囁く。「安心して、きっと上手くいくさ。」
「ほら、最後の出走馬、アルティメットサガもゲートイン。立ち上がりに注目です!」
ドキドキする時間、静かな空気。人々の視線は一点に集まる。
「スタートダ〜シュ!」実況の熱い声と共に、ゲートが開き、馬たちは一斉に飛び出す。
メイショウホウセンが力強くトップを切り、その後ろをレオマニフィクとオーバーザドリームが追いかける。先頭集団はヴォランテ、マコトベルゲルミル、そして少し遅れてエペがついていく。
しかし、逆転の可能性を秘めた馬の一角、サウンドシエルはまだじっとその時間を待ち構えて……。
「これからが勝負です!まだまだ全馬が諦める気はありません!各馬の力が試される時間が始まります……」
レース中盤
「レースは中盤戦に突入しました!」
実況の興奮の声が、小倉競馬場を駆け巡る。馬たちは持ち前のスタミナとスピードで一歩一歩進んでいく。
「まだまだここからだ。」メイショウホウセンがひたむきな眼差しで角田河騎手に誓う。
「全力で走れ!頑張れ!」騎手の喝の声が響く。
「主導権はメイショウホウセンが握り続けていますが、後ろから続くレオマニフィク、オーバーザドリーム、ヴォランテは微動だにせず、そのままのポジションを保っていますね。」解説者が声を落とす。
「だが、後方から揺さぶりをかけている馬もいます!」
サウンドシエルが微笑んだ。「遅れてるのは、ただの作戦だよ。」
松若騎手の「じっと我慢だ」という声に応えるように、彼女は徐々に加速していく。
「そしてまだ後半戦!ここはエペが頑張っています!松山騎手、このまま続けられるか!?」実況が声を弾ませる。
「焦るな、まだ時間はある。」エペの冷静な声が松山騎手の耳に届く。騎手は馬の言葉に頼りながら、じっとその挑戦を見守る。
「これからが勝負の分かれ目!各馬の本来の力が問われる時間が始まります……」解説者の声が再び会場に響く。
レースはしかし、まだまだ終わらない……。
レース終盤 ~ ゴール
「ここからが最後の直線、ゴールは目前です!」
実況の声がエキサイティングに小倉競馬場を照らす。追い風を受けて、馬たちは最後の力を振り絞り走り出す。
「全力を出し尽くせ!」城戸騎手が声を張り上げ、グランドグランはその声に応えるように速度を上げる。「了解だ、任せてくれ。」
しかし、頭ひとつリードを奪ったのはメイショウホウセンだ。角田河騎手の「最後だ!行け!」という声に応え、彼は全身全霊で前を目指す。
「しかし、ここでサウンドシエルが!」
見事なタイミングで松若騎手がスパート。サウンドシエルもその決意に応え、「最後まで諦めない。」という誓いを新たにする。
「それを見たレオマニフィクも必死の抵抗!そして、エペもここでようやく動き出しました!」
「さあ、ファイナルスパート!」
馬たちは汗と泥にまみれながら、それぞれの騎手と共に駆け抜ける。
「ゴールまであと少し!」
「そしてゴールイン!第一着はメイショウホウセン!角田河騎手、見事な勝利です!」
会場が大きな歓声で包まれる。
「続いて2着はサウンドシエル、3着はレオマニフィク!そして、4着にエペが食い込みました!見事なレースでした!」実況の高鳴る声が、スタンドを駆け巡る。
ゴール後、四着までの馬たちはそれぞれの騎手に感謝を伝えつつ、今いちど心地よい疲労を噛み締める。どの馬も、紛れもなく最高のパフォーマンスを見せてくれた。
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